PONYの缶詰

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生きることを辞め始めた人

105号室:D男さん しゃべらないけど超紳士だ。体調良くなく入退院を繰り返す。


長い脚、すらりとした長身の彼は、頭もしっかりしている。車椅子ながらも
トイレも食事も自分で出来る。食欲旺盛で出された物を残さず食べていた。
そうつい5日ほど前までは・・

だが翌日から食事に一切、手を付けなくなる、昼も夕飯も食べない。
ふとこの105号室にその前に居た女性を思い出す。「あれと同じか・・」

その女性も頭脳明晰で、ある日を境に食事を拒否しだしたのだ。どうしたの?
と聞くとこう言ったのだった。
「もう十分生きました、今までありがとう」
その後も一切食事を自ら拒絶して、点滴に、2週間後居室で亡くなった。

賢い人の最後らしいやり方だった。今回の105号室D男さんは、だが簡単には
意思を通せない。入院して治療となった。「看取り」でない限り簡単には、
絶食による自己安楽死は認められないと言うことか。
前述の女性は「看取り」宣告の翌日にホームで亡くなった。紙一重である。

再びここへ戻ってきてまた「生きることを辞め始めた人」にならなければいいのだが・・

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