若冲の生涯を、妹お志乃目線で描いた小説。当時の京の様子や
出来事、関わった画家をうまく登場させて終盤一気に読み手を
惹きつけることで読み終わると、彼の奇抜な絵は、どこから湧いてきたのか思いを馳せることができた。
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特に絵画が好きと言うわけでもなく、しいてたしなむのは春画くらい。
そんな僕でも若冲の絵だけは、何これ!と興味をひかれた。特に代表作である
ここ数年は爆発的な人気で東京の展示会ではエライ騒ぎだったらしい。
通ぶって「あのさぁ~若冲の鶏ってさぁ~」なんて言える柄じゃない。
ただ彼の名前。若冲は、冲(むなしさ)の若(ごとき)から付けられたように
その絵には、美しいがゆえに醜く、醜いがゆえに美しい、他の画家の絵にはない
素人さえグイグイ引き込む魔力がある。