ホモ・セクシュアルではない、男同士の深い友情を描いたアメリカン・ニューシネマの傑作。出所したばかりのマックスは、南カリフォルニアの道路で、同じくヒッチハイクをしていたライオンと知り合う。ライオンは5年ぶりに帰ってきた船員で、自分の居ない間に生まれた子供に会うため、妻のもとに向かう途中だという。意気投合した二人は、共に行動することにしたが……。次第に深まっていく友情を、ロード・ムービー風に描く。ラストの、ライオンに対するマックスの友情が素晴らしい余韻を残す。パチーノ、ハックマンの好演は言うまでもない。
暗くて、ダザくて、汚くて、カッコ悪いアメリカがここにある
ムショを出たばかりのマックス(ハックマン)は5年間の船員生活から丘にあがったライオン(パチーノ)と砂、有刺鉄線、どこまでも続く2車線道路で出あう。
マックスにはピッツバーグで洗車屋を始める夢が
ライオンにはデトロイトに残した息子へ電気スタンドをプレゼントしたいという夢がある
ふたりの旅ははじまる。ヒッチハイクと列車のダダ乗りだけで
どの町にも活気あふれるアメリカの姿はなく さながらそこは荒れた田んぼであり
小汚いシャツをやたら何枚も着こんだマックスと陽気さだけがとりえのライオンは
その中に立つスケアクロウ(案山子野郎)にすぎない。
カカシには何の社会的意義もない。彼らが暮らすアメリカもまた大きなカカシでしかなくなってしまったのだろうか・・
酒と喧嘩と女・・結局ふたりは刑務所に逆戻りするが
塀の中にも病んだ連中はいるもんです。
出所したふたりようやくライオンはデトロイトの家族が待つであろう家の前にくる
向かいの電話BOXから嫁に電話する。「今さらなによ!」子供の為に大事に抱えてきた
リボンのついたプレゼントだけは渡したい。ところが嫁の口から子供は生まれる前に流産したと
聞かされる 愕然とするライオン
電話口の嫁の足元には無邪気に遊ぶ子供の姿が・・・
映画の冒頭シーンから抱えていたプレゼントを置き去りにし
ライオンは狂ってしまう
ラストシーン ピッツバーグで洗車屋を始める夢があったマックス
乗車券売り場です「ピッツバーグまで」「往復ですか?」「ああ」
友情に安堵するも彼らに希望はない