二・二・六事件
描く現代史小説ではないのだ。
この発想、根底に流れる「時」と人間のかかわり方が素晴らしい傑作。
かつてこのようなSF小説は、誰も考えつかなかっただろう。
文庫本で678ページと言う大作をかいつまんで紹介するとですね
現代に生きる18歳の兄ちゃんが、火事に会う。タイムトラベラーのおっさんに
助けられ昭和11年・2月25日二・二・六事件前夜に降り立つ。
彼らはその後、日本がたどる運命を当然知っているので、歴史を変えようと
する。 しかし歴史というものは一部の人間の決断により動くものでなく
時やその時代のうねりが歴史を作ることに気づくのね、この辺とても深いです。
恋愛、殺人事件を絡めて人の心に古いも新しいもないことに気づかされる。
読み終わるとこの本の表紙の絵をきっとしみじみ噛みしめることでしょう。
SF小説などというジャンルに括るにはもったいなさすぎる傑作。
但し、固いタイトルなので序盤は、その通り何?この内容・・となるので
一気読みと言うわけにはいかないでしょう。